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〈ボロフェスタ〉25周年鼎談! 〈りんご音楽祭〉、〈SYNCHRONICITY〉と語る、代表3人のフェス論、街からシーン、そして海外へ

Дата публикации: 18-09-2026 04:00:00


〈ボロフェスタ〉25周年鼎談! 〈りんご音楽祭〉、〈SYNCHRONICITY〉と語る、代表3人のフェス論、街からシーン、そして海外へ
麻生潤(SYNCHRONICITY)、飯田仁一郎(ボロフェスタ)、古川陽介(りんご音楽祭)
2002年に始まった京都のミュージック・フェスティバル〈ボロフェスタ〉が、2026年10月31日から11月3日までの4日間、〈京都KBSホール〉と〈京都Club METRO〉で開催される

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2026/09/18 13:00

麻生潤(SYNCHRONICITY)、飯田仁一郎(ボロフェスタ)、古川陽介(りんご音楽祭)

2002年に始まった京都のミュージック・フェスティバル〈ボロフェスタ〉が、2026年10月31日から11月3日までの4日間、〈京都KBSホール〉と〈京都Club METRO〉で開催される。100人以上のボランティア・スタッフと主催者が、会場設営から運営までを担うDIYフェスの草分けも、今年で25周年。地域密着型のフェスが全国に広がった現在も、京都の土着文化と学祭のノリを礎とする独自性は揺るがない。

25周年を機に、〈ボロフェスタ〉主催者の飯田仁一郎が対談相手に選んだのは、〈SYNCHRONICITY〉の麻生潤と、〈りんご音楽祭〉の古川陽介。渋谷と松本を拠点に、DIY精神と独自の哲学に基づくブッキングで信頼を築き、約20年の歴史を重ねてきた両フェスには、〈ボロフェスタ〉と通じる精神がある。三者が、街とフェスの関係、続ける喜びと苦しみ、それぞれの未来を語り合った。

〈ボロフェスタ2026〜25th anniversary〜〉


●日程: 2026年10月31日(土)〜11月3日(火・祝)
●会場: 京都KBSホール/京都Club METRO

公式サイト: https://borofesta.jp/

〈りんご音楽祭2026〉
●日程: 2026年9月26日(土)・27日(日)
●会場: アルプス公園(〒390-0861 長野県松本市蟻ケ崎2455番地)

【タイムテーブル】

9月26日(土)タイムテーブル

9月27日(日)タイムテーブル


公式サイト:https://ringofes.info/
〈SYNCHRONICITY’27〉

●日程: 2027年4月10日(土)・11日(日)
●開催場所: 東京・渋谷

【公演スケジュール・出演者】
TBA

公式サイト:https://synchronicity.tv/

INTERVIEW : 飯田仁一郎(ボロフェスタ)× 麻生潤(SYNCHRONICITY) × 古川陽介(りんご音楽祭)鼎談

麻生潤(SYNCHRONICITY)、飯田仁一郎(ボロフェスタ)、古川陽介(りんご音楽祭)

取材・文 : 金子厚武
撮り下ろし撮影 : 大橋祐希

「場所」を守りながら、街から音楽を発信する〈ボロフェスタ〉

──今回の鼎談は〈ボロフェスタ〉の25周年を記念した企画です。飯田さんがこの機会に話をしたいと思ったのが麻生さんと古川さんだったそうですね。

飯田仁一郎(以下、飯田):そうです。麻生くんとはお互い東京に住んでるし、普段からよく話をしているんですけど、実は〈りんご音楽祭〉(以下、りんご)に対しても前からすごく同じ匂いを感じてて。

古川陽介(以下、古川):僕もです。

飯田:森道(〈森、道、市場〉)とかもそうですけど、地元をしっかり守りながら発信していて、この3人は「場所」というキーワードでもつながるんじゃないかなと思ったんですよね。

ただ、りんごは大体ボロの一ヶ月ぐらい前に開催されるので、これまでこういう機会がなかったんです。僕らがしっかり宣伝をしたいタイミングだと、りんごのプロモーションにはならない。でも今年は〈ボロフェスタ〉が25周年ということで、早めにこの企画をすることができたので、実現してよかったです。

──麻生さんと古川さん、お二人から見た〈ボロフェスタ〉はどんな存在ですか?

麻生潤(以下、麻生):飯田くんとはこれまでもいろんな話をしてきたので、もう同志みたいな感じ。でも〈ボロフェスタ〉が25周年って聞いて、ちょっとびっくり。〈SYNCHRONICITY〉(以下、シンクロ)は今年21年目なんだけど、25年はすごいなって。

古川:僕はまだ〈ボロフェスタ〉に行ったことがないんですけど、僕の原点は京都のメトロなんですよ。第2水曜日にやっていた「FANTASIA」にハマったことが、〈瓦RECORD〉(現〈カーリーレコード〉)を始めるきっかけでした。それまで「若い子の遊び」だと思っていたパーティーやDJが、「これは一生もんだぞ」と思えるものに変わったんですよね。そこから自分もパーティーができる場所を作りたいと思って、〈瓦RECORD〉をパーティーハウスとして始めました。京都は僕にとって特別な街なので、いつか〈ボロフェスタ〉にもDJで呼んでもらえたらな、と思ってます(笑)。

──飯田さんから「場所」というキーワードが挙がりましたが、京都という街は〈ボロフェスタ〉のカラーとどう結びついていると言えますか?

飯田:〈ボロフェスタ〉を始めるきっかけになったのは、1997年に開催されたフジロックでした。ある時「自分たちでもこういうことができるんじゃないか」と思って、5年後の2002年に〈ボロフェスタ〉を始めたんです。最初は西部講堂(京都大学吉田キャンパス西部構内にある厚生施設)で開催していて、4年ほど続けたあとKBSホールに移って。

古川:西部講堂でやってたんですか。

飯田:一番最初は西部講堂だったんですよ。4年やらせてもらったんですけど、当時は無我夢中にやってたのですが、今思い返すと西部講堂にリスペクトを欠いたことをやってしまって出ていくことになって。でも縁があってKBSでやるようになるんですけど、やっぱり京都の磁場が好きなんですよね。

飯田仁一郎
ボロフェスタ代表、Limited Express (has gone?)のギタリスト/リーダー、SCRAP、OTOTOYの取締役。2002年より土龍(〈livehouse nano〉店長)、加藤隆生(ロボピッチャー)、ゆーきゃん、飯田の4人で〈ボロフェスタ〉を立ち上げ、現在まで開催を続けている。

飯田:特にnano(livehouse nano)をやってる土龍くんなどの京都に住んでいるスタッフの存在が大きくて。彼らが教えてくれる「今の京都の一番面白いところ」と、僕が東京でOTOTOYやLimited Express (has gone?)などの活動で知った情報が、ぐちゃっと混ざったときに、新しい〈ボロフェスタ〉のラインナップができていく、みたいな感じ。

自分にとっても京都で一年に一回リフレッシュできるのがすごく良くて。それが自分の人生のサイクルの中に出来上がっているから、京都で続けているんだと思います。東京で〈東京ボロフェスタ〉と銘打ってやったこともあるけど、やっぱり「京都の〈ボロフェスタ〉」がしっくりきているなと思ったことを覚えています。

──西部講堂から始まったことが象徴するように、やっぱり京都は学生の街という側面もありますよね。いろんな人が出たり入ったりする中で、学生のボランティアと一緒にフェスを作っていくことも大きな特色だと思います。

飯田:そうですね。だから運営はどんどん変わっていくんですよ。ただ、〈ボロフェスタ〉はお客さんとして戻ってくる場所にもなってるというか。僕みたいに京都から出て行っても、それでサヨナラになるんじゃなくて、また戻ってくる機会を作れているのは、すごくいいなと思っています。

──麻生さんは〈ボロフェスタ〉に実際に行って、どんな印象でしたか?

麻生:楽しかったな。DIY感というか、手作りで自分たちでやっている感じがすごく面白かった。

飯田:学生のノリです(笑)。

──「大人の文化祭」っていうキャッチコピーもありますもんね。

飯田:本当に作ってる子たちが学生なんですよ。半分くらいは学生がボランティアで来てくれて、みんなで一生懸命作ってくれる。

〈ボロフェスタ〉

〈ボロフェスタ〉

ボランティア、地域との関わり方から見える、それぞれのフェスの個性

──でもそこで経験を積んだ人たちが他でいろんなことやり始める。そういうこともこの25年でたくさん起こってるわけですよね。

飯田:そうそう。現在クアトロのブッキングをしている人や、N’夙川BOYSをメジャーでやってた人が、実は〈ボロフェスタ〉の元ボランティア・スタッフだったり、そういう人が実はいっぱいいます。

古川:ボランティア・スタッフからのスタートありますよね。俺もそうですもん。19歳のときに〈朝霧JAM〉のボランティア・スタッフをやったのが今に至る最初のきっかけです。

飯田:シンクロとりんごは、ボランティア・スタッフはどれくらいいますか?

麻生: めちゃくちゃ多いですよ。 1日で百数十人くらいなので、2日間で延べ200人以上。運営のトップや責任のあるポジションにはもちろん違うけど、パスチェックや搬入・搬出の手伝いとか、無理なく取り組めることはボランティアにお願いしてて、仲間だと思ってます。

古川:都市部だったら若い子がたくさんいるけど、松本にはそこまで多くないので、うちは、そもそもボランティアが集まりにくいんですよ。

あとは、ローカルへの根付き方も全然違うと思います。松本の人にとって、〈りんご音楽祭〉の日は「超稼ぐ日」なんですよ。たくさんの人が街に集まることで、飲食店やお店など街全体が一斉に活気づく。〈りんご音楽祭〉が、年間で一番街の売り上げが伸びる日を作っているんです。

麻生:それはすごいね。

古川:だから、その日はみんな忙しくてバイトも休めない。地元の子で「その日に休んで遊びに行きたい」と思っても、半年前くらいから休みを取っておかないと来られないんですよ。そういう意味でも、地元からボランティアを集めるのがなかなか難しくて。

飯田:お客さんも松本市以外の人が多い?

古川:そうですね。パーセンテージでいうと、8割が県外、2割が県内で、そのうち1割くらいが松本市内です。

あと、〈ボロフェスタ〉やシンクロと大きく違うのは、野外フェスだということ。本当に何もないところにステージを作るので、インフラがないんですよ。水道も電気も全部引かなきゃだし、壁も床も天井も全部作る。ほとんど建築業みたいなもので、設営にも1か月くらいかかります。だから、同じフェスとして語るにしても、ブッキング以外は実はほとんど共通点がないんですよ。

古川陽介
DJ歴25年、松本在住24年。長野県松本市で2004年6月より20年間に渡りパーティーハウス『瓦RECORD』を、沖縄県那覇市で2014年3月より6年間に渡りRecord & Music Bar『on』運営。長野県松本市で2024年8月よりRecord & Music Bar『カーリーレコード』を開店、2025年6月よりBar & Lounge『GNU』を継承し、オーナーを務める。また、長野県長野市に2026年6月に開店した『BAR秘蜜』の音響・空間をプロデュースした。2009年9月に『りんご音楽祭』を始め、今年で18年目。

飯田:いや、ほんとそうかも。

──〈SYNCHRONICITY〉と渋谷は、どのように結びついていると言えますか?

麻生:もともと僕はフェスをやりたいと思って始めたわけじゃないんですよね。当時(2005年ごろ)はクラブカルチャーとライブカルチャーがちょうどクロスオーバーし始めた時期で、徐々にライブハウスにもDJの機材が置かれ始めるようになって。僕はクラブにも行ってたし、バンドもやってたから、そういうクロスオーバーなカルチャーがすごく面白いなと思って。その刺激的なカルチャーやムーブメントに飛び込みたいと思って始めたのが〈SYNCHRONICITY〉です。最初は〈代官山UNIT〉で始めて、ソールドアウトするたびに少しずつ規模を広げていって。

古川:UNITでやってるイメージはある。ジャムバンドが流行り始めて、DJと一緒にパーティーに出るようになった時期ですよね。僕がよく遊んでいたのも、Dachamboやcro-magnonがパーティーに出るような、ちょうどそういう時期でした。

麻生:そういう時代の中で、DJとバンドの両方に対応できる〈代官山UNIT〉はフレッシュで象徴的な場所だったんです。2004年にできて、「俺たちのための場所だ」と思った。そこから渋谷に移っていくんですけど、もともと自分は大分出身の田舎者だから、東京という街に並々ならぬ期待感とエネルギーを感じていたんですよね。最先端のものを一番体験できる場所が東京だと思うし、その中でも渋谷はアイコンのような街で。

だから、まだ知られてなくても熱量とクオリティがすごく高いアーティストをブッキングすることはずっと意識してやってますね。渋谷でまず火がついて、そこから広がっていく。それが〈SYNCHRONICITY〉のカラーにもなっているんじゃないかな。

麻生潤
2005年より東京・渋谷発の都市型フェス〈SYNCHRONICITY〉を主催。2025年の20周年を機に、NexToneとともに「グローバルアジア」をテーマとしたコライトレーベル〈SYNCS〉を立ち上げ、日本と海外の音楽をつなぐ活動にも取り組む。ポッドキャスト『SYNCHRONICITY BACKSTAGE - 音楽の舞台裏から -』では、日々のライブ現場を通して、音楽シーンの今とこれから、ニュースでは見えてこない舞台裏を発信している。株式会社アーストーン代表取締役。

──逆に、渋谷だからこその難しさはどう感じていますか?

麻生:すでにあるライブハウスを使ってるから、場所そのものの魅力は作りづらいんですよね。例えば、〈やついフェス〉とシンクロはカラーが違うけど、お客さんからすると同じ会場を使っているし、写真を撮ってもどれも似たようなものになってしまう。そこにどうやって〈SYNCHRONICITY〉ならではの体験価値を作るかということは、常に考えています。

──実際に、どんな部分を特に大事にしていますか?

麻生:自分がずっと大事にしているのは、テーマやコンセプト、ビジョンの部分ですね。逆にいうとそれ以外はやれてないことがまだまだ多いんですよ。例えばキービジュアルも、〈りんご音楽祭〉や〈ボロフェスタ〉はかっこいいものが早い時期に上がってきているけど、うちの場合、今年のキービジュアルができたのは開催の1か月前とかで(笑)。

古川:遅い! 僕らは開催の半年前にはできてますよ。

飯田:ボロも同じ感じです。でも僕がここ最近のシンクロで特徴的だなと思うのは、ここにきて更に規模を拡大してるっていうことで。海外のバンドを呼んだり、常に挑戦してるのはすごいなと思っていて。

ブッキングや企画での挑戦は続けるけど、ボロは拡大することはもう考えてなくて。でも、〈SYNCHRONICITY〉はどんどん拡大していて、会場も増えて今は〈WWW〉まで広がっている。

古川:今〈WWW〉も使ってるんですか? 〈O-EAST〉とかからは遠くないですか?

麻生:ちょっと遠い。でも、フジロックなんて端から端まで40〜50分かかるでしょ。それと比べたら10分くらいはいいかなって(笑)。まあ、街の雑踏の中を抜けなきゃいけないけど。

古川:なんで広げたんですか?

麻生:〈SYNCHRONICITY〉は、日本の音楽をどんどん海外に出していきたいと思っていて。実は2023年の秋に、実行委員会形式で赤レンガ倉庫を使って、そのためのイベントをやろうと思ってたの。カンファレンスもあって、ショーケースもありながらフェスの熱量もある、みたいなのを作りたくて。それは結局実現できなかったんだけど、すでに実行委員会として何社かに参画してもらっていて熱量も高かったので、いっそのことそれを渋谷にドッキングさせようと思って。

実行委員会形式でやるには、それまでの〈SYNCHRONICITY〉の規模は少し小さかったし、ビジョンに合わせて拡大していこうと。それで〈WWW〉/〈WWWX〉なども使うようになって、2024年から〈LINE CUBE SHIBUYA〉も借りて。そこから規模がそれまでの約2.5倍になりました。

古川:集客はついてきたんですか?

麻生:ついてきました。

古川:この大変な時代に集客2倍になったってことですよね。すごい!

〈SYNCHRONICITY 2019〉
photo by Kana Tarumi

〈SYNCHRONICITY 2025〉
photo by MAYUMI

3年目の転機、その先で選んだそれぞれの形

──〈りんご音楽祭〉は1年目の大赤字からスタートしたと過去のインタビューでも話されていますが、そこから上向いたのはどんなきっかけだったんですか?

古川:3年目にいきなり跳ねたんですよ。それはいくつか理由があって、まずスチャダラパーとか曽我部(恵一)さんとか、有名な方が出てくれたこと。それから、1年目にも出演してくれたrei harakamiさんとU-zhaanのユニットにも出てもらう予定だったんです。

そのときharakamiさんから、出演にあたって「継続だけが力なり」というコメントをもらっていて。ちなみに、これはたまたま今年のステートメントにもなっているんですけど、そのコメントをもらった3日後にharakamiさんが亡くなったんです。

それでU-zhaanが一人でrei harakami×U-zhaan名義のライブをやることになったんですけど、結果的にそれがその名義でのラスト・ライブになったんですよ。そこからチケットが1,000枚売れたんです。3年目でいきなり1日3,000人が来てくれて、多分その年に〈りんご音楽祭〉という名前をみんなに知ってもらえたんだと思います。そこで調子に乗って、次の年は春と秋の年2回開催にしたんですけど、それはまたコケました(笑)

──アップダウンが激しい(笑)。

古川:もう一つ大きなポイントになったのが、2013年にUAさんが出演してくれたことです。UAさんは当時沖縄に移住していて、東日本圏内でライブをほぼしていなかったんですよ。もともと大好きだったことに加え、沖縄でたまたま関係性ができたので出演をオファーして。最初は「いや、無理やで」と言われたんですけど、説得して出てもらえることになった。発表したらYahoo!ニュースの1位になったんです。

ただ、人が来すぎて運営がパンクしてしまって、「もっとちゃんとする」か「規模を小さくする」か、二択になった。そこで新たに制作チームを作って、加山雄三 feat. PUNPEEの「お嫁においで 2015」もその流れで生まれました。そこからさらに規模が拡大して、コロナ前の賑やかな〈りんご音楽祭〉につながっていったんです。

〈りんご音楽祭〉

〈りんご音楽祭〉

飯田:ボロフェスタもちょうど3年目でブレイクして、全公演ソールドアウトになって、やっぱり運営が破綻したんですよ。「この先どうしたらいいんだろう?」と思ったときに、非常階段のJOJO広重さんのところに占いに行ったんです。

そうしたらJOJO広重さんに、「今の〈ボロフェスタ〉の勢いなら、3年後には大成功して、動員も3倍くらいになる。ただ、そうなったら今いる仲間たちはみんないなくなる。どっちかを選びなさい」って言われたんです。それを聞いて僕らは「規模を大きくすることより、今いる自分たちの仲間と創りたい」と思って、拡大することをやめました。つまり、「これで食っていく」という考えを手放した瞬間だったんですよね。

古川:俺もその占い、受けとけばよかったなあ。

──あはは。シンクロの初期はどうでしたか?

麻生:僕はもともとフェスをやりたいと思っていたわけじゃなくて、〈SYNCHRONICITY〉は自分の表現の延長線上みたいなものだったんです。1年目の2005年は自分もアーティストっていう立場もあって、オーガナイザーという感覚が分からず、とにかくめちゃくちゃ大変だった。疲れすぎて、「もう絶対やらない」と思って、2006年は実際に開催しなかったんです。でも、俺はそういうネガティヴな気持ちをすぐ忘れちゃうから(笑)、2007年に再びやることになるんです。

そのときは前売りチケットも売れていたんだけど、みんなクラブカルチャーにどっぷり浸かっていた時代だったので、「ディスカウント、好きに取っていいよ」ってアーティストに言ってゆるくやってたら、前売りのお客さんも入れないくらい人が来ちゃって。で、UNITを半ば追い出されるっていう(笑)。

古川:あそこは3フロア使っても1,000人が限界ですよね。

麻生:1,000人以上きて、当時はUNITの動員位記録って言われたね(笑)。そこから渋谷に移って、完売するたびに広げていった感じかな。

飯田:やっぱり、3年目とか4年目くらいで一回バーンと来る瞬間があるんですよね。フジ(フジロック)とかもそうだと思うし。

古川:フジは3年目から苗場ですもんね。

独自の個性を武器に、海外へ、未来へ

──フジロックはそもそも初年度が台風だったわけで、やっぱり初期の混乱を乗り越えたからこそ今があるわけですね。あとは、やはり独自のブッキングが各フェスの信頼につながっていると思うのですが、今年の〈ボロフェスタ〉のブッキングに関してはいかがですか?

飯田:今年は、トラックメイカー/DJのyaginiwaくんが手伝ってくれて、ネット界隈など新しいノリを入れることができて。また、京都の主催バンドたち(THE HAMIDA SHE’Sやコロブチカなど)の協力もあり、京都から出たての熱いアーティストを呼ぶことができました。今、京都、また新しいアーティストがいっぱい出てきて、めちゃくちゃ面白いんですよ!

──ずっと〈ボロフェスタ〉を見てきた人たちと、若い人たちの感性を融合させながらブッキングをしていると。

飯田:それをやらないとしんどくなってきています。OTOTOYをやっていても、自分たちの「年配感」は常に意識しています。

でも、自分たちだけでは届かないところにいるアーティストも呼びたいじゃないですか。その欲望に対しては、もともと〈ボロフェスタ〉でスタッフをやっていて、今は渋谷のクアトロでブッキングをしている瀬藤(育)くんや、yaginiwaくん、主催バンドたちが応えてくれていますね。

パソコン音楽クラブ 【Boro the Party】@ボロフェスタ2025

パソコン音楽クラブ 【Boro the Party】@ボロフェスタ2025

〈ボロフェスタ〉

〈ボロフェスタ〉

──シンクロは今も麻生さん自身がブッキングの8割ほどを担当しているそうですね。

麻生:そうですね、ただブッキングに関しては正直自分の割合をどんどん落としたいと思ってます。キュレーションにより集中してラインナップのクオリティは担保しながら、実際のブッキングは他の人に引き継げるようにしたいし、自分はもっと違うことをやりたい。さっきも言ったように、規模を拡大して、もっと国際的な交流の場にしていきたい。日本の音楽を海外に出したり、海外の音楽を日本に届けたり。僕の中では、〈SYNCHRONICITY〉は単なるフェスではなくて、ライフワークというか、人生のプロジェクトみたいなイメージなんですよ。

古川:すごく納得です。

麻生:もともと「クリエイティブでかっこいいカルチャーを紹介したい」という気持ちで始めたし、今もそれは変わってなくて、日本の音楽を海外に紹介することを考えると、今自分が担っているブッキングの割合は落としつつ、よりラインナップ全体のキュレーションに集中して、そのうちキュレーションの部分も若手に引き継げるような形にしたいなと思っています。

古川:俺は結構真逆ですね。僕はそもそも人の個性ってすごく尊いと思っていて、圧倒的な実力や資金力がないなら、「どれだけ偏っているか」が特徴になって、勝負できると思っていて。

だから、うちが生き残っていくためにも「圧倒的な個性だけはなくさないようにしよう」と思ったんです。都市部でもないし、田舎でフェスをやるのはかなり難しい。それでも他と圧倒的に違うものの一つとして、うちにはブッキングがある。全リスクを俺が一人で負うという、世界でもほとんどないやり方だと思うんです。そういう「偏り」こそ、うちの個性として大事にしているというか、他に戦える場所がない。

飯田:りんごもシンクロも、ブッキングを見ると2人の感覚がすごく出てると思う。

──「他と違うことをやる」はシンクロも〈ボロフェスタ〉も共通する精神ですよね。だからこそ独自の存在感があって、ここまで続いてきた。

飯田:そこがないとね、やっても仕方がないよね。

古川:シンクロが海外へのきっかけになるという話がありましたけど、それが確立したらめちゃめちゃいいですよね。みんなが求めていると思う。

今、日本はすごく不景気だから、海外に行きたいバンドはいっぱいいるんですけど、なかなかパイプが見つからない。でも、その部分が確立されてくると、音楽業界の人たちが注目するポイントもすごく変わってくるはず。それは他にないことだから。人の集まりやすい東京でやる意味ももっと出てきますよね。

〈SYNCHRONICITY 2025〉
photo by MAYUMI

〈SYNCHRONICITY 2026〉
photo by MAYUMI

飯田:シンクロが〈SXSW〉(米国テキサス州オースティンで毎年開催される大規模なカンファレンス&フェスティバル)のようなフェスになっていくかもしれないよね。

麻生:〈SYNCHRONICITY〉の熱量や魅力を維持しながら、そうしたいなと思ってます。日本の関係者の人も海外に行くよりコストも安く済むし、早いじゃないですか。

一緒にやっているCUEWというチームが海外のいろんな場所に足繁く通っていて、常に世界のリアルな現場と繋がっています。そういう現場に飛び込んでいる日本人って本当に少ないからこそ、〈SYNCHRONICITY〉が架け橋となって、日本の音楽を世界へ届けていきたいんです。

日本の音楽の価値って、アジア圏の中でも特に評価されているし、クオリティも高くて市場も大きい。だからこそ、海外からの注目や期待も想像以上に大きい。その期待に応えられる場所を、形にしていきたいと思っています。

古川:「海外を目指すなら、まず〈SYNCHRONICITY〉を目指す」になるわけじゃないですか。今は、海外を目指すこととフジロックに出ることがほぼイコールになっていて、フジロックで動画に撮られるかどうかもすごく重要になってますよね。

麻生:りんごも「RINGOOO A GO-GO」やってるよね?

古川:そう。フジロックへのリスペクトを込めて、名前をそのままパクらせてもらいました(笑)。

〈りんご音楽祭〉

〈りんご音楽祭〉

続けることより、面白いことを

──話は尽きませんが、これまで長くフェスを続けてこられたなかで、今後も続けていくうえで変わらず大事にしていきたいことや、新たに挑戦していきたいことがあればお聞かせください。

古川:「ブッキングにおける圧倒的な個性」はこれからも意識していきたいですね。

本当のところをいうと、僕はDJだけで食べていけるなら、他の仕事は全部やめたいんです。お金の話なんてしたくないし、ずっと音楽の話だけしていたい。でも現実にはそうもいかないからお店をやっていて。

お店も20年続けていると、それ自体がだんだん面白くなってきたし、リスクや負担とのバランスも、今のところはギリギリ取れているんです。でも、フェスはあまりにも負担が大きい。なんとか続けていける方法を模索していきたいです。

麻生:変わらず大事にしたいのは、あの場の「熱量」です。アーティストとお客さんが呼応する瞬間、限界を超える圧倒的な表現、熱狂を生み出そうとするチャレンジ。それがないと、箱を増やしても〈SYNCHRONICITY〉ではなくなる。

純度の高い熱量を核にしながら、フェスという枠を超え、ショーケースやカンファレンスまでが交わる「交差点」をつくりたい。世界中の音楽が集まり、日本と世界の音楽がつながる場所をつくっていきたいんです。

規模を追うことが目的ではなくて、熱量を残したまま、それをどこまで具体的に形にできるか。今はそこに尽きますね。

──25年目以降の〈ボロフェスタ〉についてはいかがでしょうか。

飯田:15周年とか20周年のときは「この先もずっと続けてやるぞ」と思ってたんですけど、今は、続けることが目的になってはいけないなと実は思い始めていて。

そのきっかけになったのが、30周年でパッと終わった福岡の〈SUNSET〉(福岡県糸島の大規模な音楽フェスティバル。2024年で終了)で。長く続けるだけじゃなく、「終わる美学」もあるんだなと思って、かなり衝撃を受けたんですよね。

だからこそ、その年にできる一番面白いことをしっかり提案していきたいなと思っています。今年は25周年ということで4日間連続でやってみるけど、来年はもっと縮小してもいいし、また違うことをやってもいい。大事な仲間たちやこれからのシーンを築いていく人たちと一緒に、「今できる一番面白いことは何か」を考えてやる。それが本質なので、そこを追求できるところまではやろう、という感じですね。

──下の世代に引き継ぐことは考えていない?

飯田:〈ボロフェスタ〉はビジネスじゃないので、無理に引き継がないといけない理由がないんですよ。もしビジネスとしてやっていたら、俺らが「やめます」って言ったら、スタッフの人たちは路頭に迷う。でも、〈ボロフェスタ〉はそうじゃない。

harakamiさんの「継続だけが力なり」という言葉には、めちゃくちゃシンパシーを感じるんですけど、続けること自体が目的になってしまうと本末転倒だと思うんです。そこに縛られすぎると、やっぱりキツくなる。だから続けることよりも、面白いことをし続けることが大事なのかなって。今はそう思っていますね。

編集 : 石川幸穂

〈ボロフェスタ〉INFORMATION

2002年より続く、京都のミュージック・フェスティバル。知名度の有無やジャンルに関係なく主催者が「観たい! 呼びたい!」と思うアーティストのみをブッキング。100人以上のボランティア・スタッフと主催者が一緒になって、会場設営から一切のイベント運営までを行う、典型的なインディ・フェス。

〈ボロフェスタ2026〜25th anniversary〜〉

●日程: 2026年10月31日(土)〜11月3日(火・祝)
●会場: 京都KBSホール/京都Club METRO

■Official Site : https://borofesta.jp/
■X : @borofesta
■Instagram : @borofesta
■facebook : @borofesta
■YouTube : @ボロフェスタ

〈SYNCHRONICITY〉INFORMATION

「未来へつなぐ出会いと感動 – CREATION FOR THE FUTURE – 」をテーマにグリーン電力で開催する都市型ミュージック&カルチャーフェスティバル。音楽、ライブペインティング、映像、ダンスパフォーマンス、デザイン等、ジャンルを超え様々な音楽やアートが交わる空間を通して、未来へ続く前向きなエネルギーを生み出すことを目的に開催しています。

〈SYNCHRONICITY’27〉

●日程: 2027年4月10日(土)・11日(日)
●開催場所: 東京・渋谷

【公演スケジュール・出演者】
TBA

■Official Site : https://synchronicity.tv/
■X : @_synchronicity
■Instagram : @synchronicityfest
■facebook : @synchronicityfest
■YouTube : @synchronicityfest
■Podcasts : https://linktr.ee/synchronicityfest

〈りんご音楽祭〉INFORMATION

長野県松本市アルプス公園で開催されている野外音楽フェス。松本の街の魅力を、1人でも多くの方に。誰もが気楽に良い音楽を楽しめる「ポピュラーミュージックの祭典」を目指して生まれました。主催者のdj sleeperが全国のパーティー・フェス・ライブに足を運び、「今いちばん聴いてみたい」アーティストをブッキング。日本の音楽シーンの"旬"が味わえます。

〈りんご音楽祭2026〉
●日程: 2026年9月26日(土)・27日(日)
●会場: アルプス公園(〒390-0861 長野県松本市蟻ケ崎2455番地)

【タイムテーブル】

9月26日(土)タイムテーブル

9月27日(日)タイムテーブル

■Official Site : https://ringofes.info/
■Instagram : @ringofes
■X : @ringofes
■facebook : @ringofes
■YouTube : @kawararecord

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