macOSでの新たなテストにより、デスクトップ版Braveがページ読み込み速度、CPU、メモリ、消費エネルギー、ネットワーク使用量においてChrome、Edge、Firefoxを上回ることが明らかになりました。本記事では、テストの全手順と結果を詳しく紹介します。
この投稿は、Braveのパフォーマンスを継続的に評価するシリーズの続報です。Soumyajit Chatterjee(システムパフォーマンスリサーチ)、Kleomenis Katevas(主任機械学習リサーチ)、Artem Chaikin(スタッフセキュリティエンジニア)、Pete Snyder(主任プライバシー研究者)、Hamed Haddadi(チーフサイエンティスト/客員教授)による研究成果を紹介いたします。
このたび、Braveをデスクトップ向けの主要3ブラウザ(Chrome、Edge、Firefox)と比較する新たなベンチマークテストを実施しました。その結果、デスクトップ版Braveは他のブラウザより高速で、消費エネルギーが少なく、CPUとメモリの使用量も抑えられており、データ転送量も少ないことが明らかになりました。具体的には、テスト対象の全ブラウザと比較して、Braveは以下の結果を示しています。
これらの結果は、Braveのページ読み込み速度、バッテリー消費、CPU使用量、ネットワーク使用量においてAndroid版Braveが他のモバイルブラウザを上回ることを示した2025年のテスト結果と非常に近いものです。Androidのベンチマーク同様、デスクトップでの優位性もBraveに標準搭載されたプライバシー・セキュリティ機能、すなわち広告ブロックとトラッカーブロックによるものと考えています。これらの機能が不要なネットワークリクエストを排除し、ブラウジング中の処理オーバーヘッドを削減します。
テスト環境:ハードウェアとソフトウェアこのデスクトップテストは、Apple M2チップと8GBユニファイドメモリを搭載したApple Mac Mini上で、macOS 26.5.1(25F80)を使用して実施しました。
テスト時点で最新バージョンの以下のブラウザを使用しました。
| ブラウザ | バージョン |
|---|---|
| Brave | 1.92.139 (Chromium 150.0.7871.114, arm64) |
| Chrome | 150.0.7871.184 (arm64) |
| Edge | 150.0.4078.83 (arm64) |
| Firefox (Playwright Gecko) | 146.0.1 (64-bit) |
すべてのテストは、英国ロンドンの専用50Mbps回線で実施しました。
検証の詳細について テスト内容Brave Searchの統計データに基づく上位50サイトのランディングページを読み込み、テストを実施しました。各テストは10回繰り返し、実行ごとにブラウザの順序をランダムに入れ替えました。これにより順序効果を相殺し、特定のブラウザが順番によって有利・不利になることを防いでいます。
各ブラウザについては、デフォルト設定でクリーンなベースラインのユーザーデータディレクトリを作成しました。テスト実行のたびに、このベースラインを新しい独立した一時ディレクトリにコピーすることで、過去の実行によるキャッシュ、Cookie、永続的な状態が結果に影響しないようにしました。その後、この独立したプロファイルでブラウザを起動し、バックグラウンドプロセスが安定するまで60秒待ってから計測を開始しました。
デスクトップのベンチマーク測定macOSにおけるブラウザのパフォーマンス評価には、ローカルに設置したApple Mac Miniを使用しました。ブラウザの自動化には、Playwrightフレームワーク(v1.58.2)を用いて開発したツールを採用しました。Playwrightは、ネットワークリクエスト、ページのライフサイクルイベント、ワーカースクリプトの動作など、幅広いブラウザの挙動を一貫性のある再現可能な方法で自動化・計測するためのクロスブラウザAPIを提供します。
各ブラウザの設定ごとにクリーンなブラウザプロファイルを用意し、60秒間の安定化時間を設けました。その後、ブラウザは計測リスト内の各URLにアクセスし、読み込んだページを30秒間開いた状態を保ってからウィンドウを閉じ、次のURLの読み込みに移りました。
ページ読み込み時間は、Playwrightの計測機能を通じてJavaScriptを注入することで、ナビゲーション開始からloadEventEndイベントまでの時間を計測しました。
macOSにおける消費エネルギーは、powermetricsから350msごとに取得した瞬時システム電力を積分して推定しました。結果はミリワット時(mWh)で表記しています。
CPU使用率は、psによるプロセスレベルの統計情報を用いて、ブラウザに関連するすべてのプロセス(メイン、レンダラー、GPU、ユーティリティなど)にわたって集計し、ブラウザに起因するCPU負荷の合計を算出しました。メモリはブラウザプロセス全体のRSS(Resident Set Size)を同じくpsで集計して計測しました。ネットワーク使用量はPlaywrightのページスコープ計測機能を使用して計測しました。この機能は各ページに起因するリクエストとレスポンスを記録し(バックグラウンドのブラウザプロセスとページごとのネットワーク通信を正確に切り分けることができます)、ヘッダーとペイロードを含む送受信バイト数の合計を算出します。
パフォーマンス評価では、以下の項目に焦点を当てています。
loadEventEndまでの時間およびLCPレンダリング時間図1は、4つのブラウザにおけるページ読み込みごとの消費エネルギー(mWh)の分布を示しています。Braveはテスト対象の中で最もエネルギー効率に優れており、平均消費量は約31.1 mWhです。これはChromeの平均(約32.5 mWh)より4%、Edgeの平均(約35.3 mWh)より12%、Firefoxの平均(約36.1 mWh)より14%低い値です。また、Braveは他のブラウザと比べて分布が著しく狭く(四分位範囲が小さく、ひげが短い)、Webサイトをまたいでエネルギー消費の挙動が安定しており、ページ読み込み中の電力変動も少ないことがわかります。
BraveとEdge・Firefoxとの差は特に顕著です。この2つのブラウザはいずれもページ読み込みごとの平均消費エネルギーが大幅に高く、中でもFirefoxは分布の広がりが最も大きくなっています。このような広い分布は、ページの種類によってブラウザの処理効率にばらつきが大きいことを示しています。
図1:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、ページ読み込みごとの消費エネルギー(mWh)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
CPU
図2に示すCPU使用率の結果は、さらに顕著な差を示しています。Braveの平均CPU使用率は約33%で、Chromeの平均(約47%)、Edgeの平均(約53%)、Firefoxの平均(約78%)をいずれも大幅に下回っています。
特に際立っているのはFirefoxのCPU使用率です。その平均値はBraveの約2.5倍に達し、最悪のケースでは100%に迫ることもありました。これは一部のページにおいて、読み込みとレンダリングの過程でFirefoxが1つ以上のCPUコアを完全に占有してしまうことを示しています。これはFirefox固有のGeckoエンジンアーキテクチャと一致しており、ChromiumベースのブラウザとはWebページの処理方法が異なります。Brave、Chrome、EdgeはいずれもChromiumエンジンを共有していますが、Braveのネイティブ広告ブロックにより、本来であればフェッチ・解析・実行が必要なページリソースの大部分が除去されます。このフィルタリングによって、ページ読み込みごとに必要なCPU処理が直接削減されます。
図2:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、ページ読み込みごとのCPU使用率(%)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
メモリ
図3は、ページ読み込みごとのメモリ消費量(RSS:Resident Set Size、単位MB)を示しています。Braveはテスト対象の中で最もメモリ効率に優れており、平均約1,200 MBです。これはChromeの平均(約1,750 MB)より31%、Edgeの平均(約1,620 MB)より26%、Firefoxの平均(約1,650 MB)より27%低い値です。
この効率性は、プロセスの分離とキャッシュ管理を競合他社とは異なる方法で行うBraveのアーキテクチャによるものです。他のブラウザがデフォルト設定において多くのバックグラウンド状態を保持したり、最適化が不十分なメモリ管理に依存しているのに対し、Braveのネイティブ広告ブロックとトラッカーブロックは、同時にメモリに保持する必要があるリソースの数を削減します。Braveはネイティブブロッカーのメモリオーバーヘッドのさらなる削減に積極的に取り組んでおり、今後のバージョンでもこの優位性は維持・拡大されると見込んでいます。
図3:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、ページ読み込みごとのメモリ消費量(MB)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
ページ読み込み速度
ページ読み込み時間(loadEventEnd基準)
図4は、ナビゲーション開始からloadEventEndイベントまでのページ読み込み時間の分布を示しています。Braveの平均読み込み時間は約4.4秒で、Chrome(約5.1秒、Braveより16%高い)、Firefox(約5.3秒、20%高い)、Edge(約6.0秒、36%高い)を上回っています。
Edgeは4つのブラウザの中で四分位範囲が最も広く、中央値も最も高く、平均的に遅いだけでなくサイトによるばらつきも大きいことがわかります。Braveの読み込み時間における優位性は、広告ブロック機能と一致しています。この機能により、他のブラウザがload eventを完了する前にフェッチ・解析・実行しなければならないサードパーティのリクエスト(広告、トラッカー、アナリティクススクリプトなど)の多くが排除されます。
図4:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、loadEventEnd時点で計測したページ読み込み時間(秒)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
LCPレンダリング時間
図5は、メインのビジュアルコンテンツが表示されるまでの時間をユーザー視点で示す指標であるLCP(Largest Contentful Paint)レンダリング時間を示しています。この指標では、4つのブラウザのスコアはリソース使用量やページ読み込み完了時間と比べて、より近い値に集まっています。BraveのLCP平均は約2.4秒で、同じ値のChromeとの統計的な差は見られません。EdgeとFirefoxはそれぞれ約2.5秒とわずかに遅い結果となっています。
このLCPの収束は注目に値します。Braveは競合他社よりもはるかに速くページ全体の読み込みを完了しますが(前述のとおり)、最大の表示要素がレンダリングされるまでの時間は4つのブラウザ間でほぼ同じです。これは、Braveの読み込み時間における優位性の大部分が、主要なビジュアルコンテンツのレンダリング後に読み込まれるリソース(バックグラウンドのトラッカー、アナリティクスの呼び出し、遅延スクリプトなど)を排除することによるものであり、重要なレンダリングパス自体の高速化によるものではないことを示しています。ユーザーの体感としては、ページが表示されるタイミングはどのブラウザでもほぼ同じですが、Braveはより少ないCPUとエネルギー消費ですべてのバックグラウンド処理を速く完了させます。
図5:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおけるLCPレンダリング時間(秒)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
ネットワークデータ使用量
ネットワーク効率を評価するため、レスポンスサイズ(受信データ、ネットワークRxに相当)とリクエストサイズ(送信データ、ネットワークTxに相当)の2つの指標を分析しました。これらはPlaywrightの計測機能を使用して取得し、ページ読み込みごとのブラウザレベルのリクエストとレスポンスの合計バイト数を記録しました。
レスポンスサイズ(受信データ)図6は、ページ読み込みごとのレスポンスサイズ(受信データ)の分布を示しています。Braveは平均約4.4 MBで最も少なく、競合を上回っています。Chromeは平均約4.8 MB(Braveより9%高い)、Firefoxは約6.3 MB(43%高い)、Edgeは約6.8 MB(55%高い)となっています。
EdgeとFirefoxは、2つのChromiumベースのブラウザと比べて受信データ使用量が著しく多い結果となりました。特にEdgeは四分位範囲が大幅に上方に広がっており、相当数のページで他のブラウザよりもはるかに多くのデータを取得していることがわかります。Braveの受信データ量が少ない理由は、コンテンツフィルタリングによって広告クリエイティブ、トラッキングピクセル、サードパーティスクリプトがネットワークにリクエストされる前にブロックされるためです。
図6:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、ページ読み込みごとのレスポンスサイズ(MB)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
リクエストサイズ(送信データ)
図7は、ページ読み込みごとの送信リクエストサイズの分布を示しています。Braveと競合他社との差は、ネットワーク指標の中で最も顕著です。Braveの平均は約0.18 MBで、最も少ない送信データ量を記録しており、Firefox(約0.25 MB)より28%、Edge(約0.30 MB)より40%、Chrome(約0.34 MB)より47%少ない結果となっています。
BraveとChromeの送信データ量の差は特に大きく、Chromeはページあたり平均で約2倍のデータを送信しています。これは、Braveがデバイスから送信される前にブロックするトラッキングビーコン、テレメトリーのping、アナリティクスのペイロードの量を反映しています。送信データの削減はプライバシー面でもちろん重要ですが、本テストが示すように、アップロード帯域幅の消費量や、リクエストのシリアライズと送信に伴うCPUオーバーヘッドの削減にもつながります。
図7:テスト対象の4つのデスクトップブラウザにおける、ページ読み込みごとのリクエストサイズ(MB)の箱ひげ図。三角形は平均値、水平線は中央値を表します。値が低いほど優れています。
合成ベンチマーク
実際のブラウジング指標を主な評価対象としていますが、参考として広く使われている3つの合成ベンチマークの結果も掲載します。JavaScriptベースのWebアプリケーションの実行速度を測定するSpeedometer 3.1、計算負荷の高いタスクにおけるJavaScriptとWebAssemblyのパフォーマンスを評価するJetStream 2.2、そして60フレーム/秒でのグラフィックレンダリング性能をテストするMotionMark 1.3.1です。
前述のとおり、これらのベンチマークは実際のパフォーマンス差を生む要因、すなわちプライバシー保護、広告ブロック、ネットワーク最適化を考慮していません。また、同じエンジンを共有するブラウザの比較にも適していません。Brave、Chrome、EdgeはいずれもChromiumで動作しているため、実際のブラウジングにおける挙動の違いに関わらず、エンジン重視のテストではスコアが自然と近い値に収束します。
図8:合成ベンチマークの平均値(標準偏差)——(a)Speedometer 3.1、(b)JetStream 2.2、(c)MotionMark 1.3.1。すべてのスコアは高いほど優れています。
結果はこのパターンを反映しています。JetStream 2.2(図8b)では、Brave、Chrome、Edgeのスコアに統計的な差は見られず、Firefoxはエンジンアーキテクチャの違いにより低いスコアとなっています。Speedometer 3.1(図8a)も同様の傾向で、Brave、Chrome、Edgeのスコアは僅差に集まり、Firefoxがそれに続きます。MotionMark 1.3.1(図8c)もChrome、EdgeではChromiumクラスターの同様のパターンが見られますが、Braveのスコアはやや低く、これはグラフィック負荷の高いレンダリングに対する追加のプライバシー機能のオーバーヘッドを反映していると考えられます。Firefoxは、こちらもエンジンの違いを反映して大幅に低いスコアとなっています。
なぜこの4つのブラウザなのか本研究では、Braveと他の3つのクロスプラットフォームブラウザを評価対象としました。ChromeとEdgeは世界的な普及率の高さから、FirefoxはGeckoという異なるブラウザエンジンを採用していることに加え、プライバシーをブラウザのポジショニングとマーケティングの中心に据えていることから選択しました。
他にもいくつかのブラウザを検討しましたが、最終的には比較対象から除外しました。最も大きな点は、Safariおよびその他のWebKitベースのブラウザを含めなかったことです。今回使用した計測フレームワークであるPlaywrightは、WebKitエンジンのラッパーへのアクセスしか提供しておらず、Safari自体を計測することとは同等ではありません。Safariを計測できる他のフレームワークも存在しますが、今回の計測システムに必要な機能や性能(URLごとのリクエスト/レスポンスサイズの計測など)を備えていません。
まとめ計測したすべてのリソース指標(エネルギー、CPU、メモリ、ページ読み込み時間、帯域幅)において、Braveは本評価で最も効率的なデスクトップブラウザです。指標によって差の大きさは異なりますが、方向性は一貫しています。macOSの実際のブラウジング環境において、BraveはChrome、Edge、Firefoxを上回っています。
これらの優位性は、Braveがデフォルトで搭載するプライバシーおよびパフォーマンス機能の直接的な結果です。ネイティブの広告・トラッカーブロック、フィンガープリント保護、バウンストラッキング対策により、すべてのページ読み込みにかかる計算コストとネットワークオーバーヘッドが削減されます。テストの主な結果は以下のとおりです。
今後もiOSを対象とした同様のテストを実施するとともに、すべてのプラットフォームで定期的にテストを再実施し、Braveが最も高性能な主要ブラウザであり続けることを確認していく予定です。
本記事の結果に関するご質問やご意見は、Brave Researchチーム(blade-project@brave.com)までお問い合わせください。
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